投資情報

ケインズ『一般理論』: 失業と有効需要

1929年に始まった世界恐慌は、資本主義経済が抱える根本的な問題を露呈させました。従来の経済学では説明できない大規模な失業の発生は、世界中の人々に大きな衝撃を与えました。このような時代背景の中、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、1936年に『雇用・利子および貨幣の一般理論』を著し、従来の経済学を根本から覆す新たな理論を提唱しました。これが、後に「ケインズ革命」と呼ばれるようになる、経済学における大きな転換点であり、ケインズ経済学誕生の瞬間でした。ケインズ以前の古典派経済学では、「供給はそれ自身の需要を生み出す」というセイの法則が信じられていました。これは、生産されたものは必ず売れるため、生産が需要を創造し、市場メカニズムによって完全雇用が達成されるとする考え方です。しかし、世界恐慌による大規模な失業は、この古典派経済学の楽観的な見方を覆しました。ケインズは、需要が供給を規定すると考えました。人々の需要不足が生産の縮小や雇用削減に繋がり、それがさらなる需要不足を招くという悪循環に陥ると指摘したのです。そして、有効需要の不足こそが不況の原因であると主張し、政府による積極的な財政政策の必要性を説きました。これは、市場メカニズムに任せておけば自動的に完全雇用が実現するという古典派経済学の考え方を否定し、政府が経済に介入することの必要性を示した点で画期的でした。
不動産投資

知って得する!投資用語「総資産」解説

「総資産」とは、企業や個人が保有するすべての資産の合計額のことを指します。企業の場合、現金や預金、売掛金などの流動資産に加え、工場や機械設備などの固定資産も含まれます。一方、個人の場合、現金や預貯金、株式や投資信託などの金融資産に加え、不動産や自動車などの物的資産も含まれます。投資においては、企業の財務状況を分析する上で重要な指標となります。総資産の金額を見ることで、その企業の事業規模を把握することができます。また、総資産と負債のバランスを見ることで、その企業の財務の健全性を判断することができます。
債券投資

未来への投資!グリーンボンドとは?

地球温暖化や気候変動が深刻化する中、環境問題への意識が高まり、持続可能な社会の実現に向けて、企業や投資家の行動が問われています。 その中で注目されているのが「グリーンボンド」という投資商品です。 グリーンボンドとは、企業や政府などが、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー、省エネルギー建築、水資源管理といった環境に配慮したプロジェクトに資金を調達するために発行する債券です。グリーンボンドの魅力は、投資を通じて地球環境問題の解決に貢献できる点にあります。 従来の投資では、経済的な利益を重視する傾向がありましたが、グリーンボンドは、経済的利益だけでなく、社会的な責任を果たすという投資家のニーズに応えることができます。 また、グリーンボンドは、発行体が環境改善効果を明確に示す必要があるため、投資家は自分の投資がどのように環境問題の解決に役立っているのかを具体的に知ることができます。さらに、グリーンボンドは、投資対象としての魅力も持ち合わせています。 グリーンボンド市場は近年急速に拡大しており、多くの投資家から注目を集めています。 グリーンボンドは、発行体の信用力が高い傾向があり、比較的安全性の高い投資先と言えます。グリーンボンドへの投資は、地球の未来を投資するだけでなく、持続可能な社会を創造するための一歩となります。 私たち一人ひとりが、環境問題を意識し、グリーンボンドのような投資を通じて、未来への投資を始めていきましょう。
投資情報

輸入インフレとは?仕組みと対策を解説

- 輸入インフレの定義供給サイドのインフレとはインフレには、需要が供給を上回ることで発生する-需要プル型-と、供給側の都合でモノの値段が上昇する-コストプッシュ型-の2種類があります。輸入インフレは、この-コストプッシュ型-に分類されます。具体的には、-海外からの原材料や製品の輸入価格が上昇すること-で、国内の物価全体が押し上げられる現象を指します。
株式投資

グリーンシューオプションとは?投資初心者向けに解説

- グリーンシューオプションの基礎知識グリーンシューオプションとは、新規公開株(IPO)の際に、需要が高まった場合に、当初の発行株式数よりも多くの株式を発行できる権利のことです。簡単に言うと、IPOで投資家の人気が高まり、想定よりも多くの株式の需要が見込まれる場合に、証券会社が追加で株式を発行できる制度です。この権利は、IPOの主幹事証券会社に与えられており、新規上場日から30日間の間に行使することができます。
投資情報

投資信託の隠れたコスト「監査報酬」を理解する

投資信託を選ぶ際、多くの人は運用成績や手数料に注目します。しかし、見落としがちなコストとして「監査報酬」が存在します。今回は、この監査報酬について詳しく解説し、投資信託との関係性について明らかにします。- 監査報酬とは?監査報酬とは、企業の財務諸表が適正かどうかを監査する監査法人に対して支払われる報酬のことです。企業会計の信頼性を高めるために、日本では会社法や金融商品取引法などの法律で、一定規模以上の会社に対して監査法人の監査を受けることが義務付けられています。- 投資信託と監査報酬投資信託も例外ではなく、投資信託運用会社は、投資信託財産の運用状況や計算の正確性を監査法人によって監査されます。そして、その監査に対して監査報酬が発生します。監査報酬は、投資信託の保有者が負担します。具体的には、投資信託の運用費用の一部として間接的に支払われており、目に見える形では明記されていないことが多いため、投資家にとって見えにくいコストとなっています。- まとめ監査報酬は、投資信託の透明性と信頼性を確保するために必要なコストと言えるでしょう。しかし、投資家にとっては見えにくいコストであるため、投資信託を選ぶ際には、目論見書などを確認し、運用費用に含まれる監査報酬についても把握しておくことが大切です。
投資情報

知っておきたい投資用語: 海外からの純所得受取

「海外からの純所得受取」とは、海外への投資から得られる所得から、必要経費を差し引いた後の金額を指します。具体的には、海外の企業が発行する株式の配当金や債券の利子、海外の不動産投資による賃料収入などが挙げられます。これらの収入は、日本の所得税法上、「外国所得」として扱われます。海外からの純所得受取は、投資対象や投資先の国の経済状況、為替レートなどによって変動する可能性があります。そのため、投資する際には、これらの要素を十分に考慮する必要があります。
株式投資

年末年始の投資戦略!『餅つき相場』でチャンスをつかむ

「餅つき相場」とは、毎年12月末から翌年1月上旬にかけて見られる株価上昇の傾向のことを指します。年末年始は、企業の決算期や投資家の節税対策、新年への期待感などから、株価が上昇しやすいと言われています。その由来は、年末年始に餅つきが行われる様子と、株価チャートが重なることから来ています。餅つきでペッタン、ペッタンと餅をつくように、株価も上がったり下がったりを繰り返しながら、最終的には上昇していく様子が、まさに餅つきを連想させることから、このように呼ばれるようになりました。餅つき相場の特徴としては、全体的に取引が活発になること、特に中小型株の上昇率が高くなることなどが挙げられます。これは、機関投資家が年末年始休暇に入っている間、個人投資家を中心とした売買が活発になるためです。しかし、必ずしも毎年餅つき相場が起こるわけではなく、相場の状況によっては株価が下落することもあります。投資は自己判断と自己責任が基本です。餅つき相場だからといって安易に飛びつかず、事前にしっかりと情報収集を行い、冷静な判断をするようにしましょう。
投資情報

即時グロス決済(RTGS)とは?仕組みとメリットを解説

即時グロス決済(Real Time Gross Settlement RTGS)とは、金融機関間で行われる資金移動システムの一つです。「即時」の名前の通り、資金の移動指示が銀行に届いた時点で、金額にかかわらずリアルタイムで決済処理が行われます。また、「グロス」とは、個々の取引を合算せずに、一つずつ完結させることを意味します。つまり、RTGSは、高額な資金移動を、リアルタイムで、かつ確実に処理できるシステムとして、金融システムにおいて重要な役割を担っています。
債券投資

無担保社債とは?投資する際の注意点

無担保社債とは、企業が資金調達のために発行する債券のうち、特定の資産を担保としないものを指します。つまり、投資家は企業の信用力のみを頼りに投資することになります。社債は大きく分けて「 secured bond(担保付社債)」と「unsecured bond(無担保社債)」の2種類に分類されます。担保付社債は、企業の保有する不動産や設備などを担保として発行されるため、万が一、発行企業が倒産した場合でも、担保を売却することで投資元本の一部や利息が回収できる可能性があります。一方、無担保社債には担保が存在しないため、発行企業の信用力が低い場合は、元本割れのリスクが高くなります。しかし、その分、無担保社債は、担保付社債に比べて高い利息が設定されていることが一般的です。そのため、投資家はリスクとリターンを比較検討し、自己の投資方針やリスク許容度に合った選択をする必要があります。
債券投資

知っておきたい「公社債分科会」の役割

「公社債分科会」は、金融庁の審議会である「金融審議会」の下に設置されている組織です。金融審議会は、内閣総理大臣の諮問機関として、日本の金融制度や政策に関する重要な事項を審議しています。その中で、公社債分科会は、債券市場の健全な発展や投資家保護の観点から、社債や国債といった公社債に関する制度整備や市場環境の改善について専門的に検討・議論する役割を担っています。
投資情報

投資で成功するには?収益性の見極め方

「収益性」とは、投資した金額に対して、どれだけ利益を生み出せるかという指標です。 つまり、投資効率の良さを表すと言えます。 収益性が高いほど、投資額に対して大きなリターンを得られるため、投資判断において非常に重要な要素となります。
投資情報

投資の基礎: ヘッジ比率を理解する

ヘッジ比率とは、投資ポートフォリオ全体に対する、ヘッジファンドに投資されている資産の割合を表すものです。簡単に言えば、これはリスク管理のためにどれだけヘッジファンドに投資しているかを示す指標です。 ヘッジ比率は、投資戦略、リスク許容度、市場の状況など、さまざまな要因によって異なります。一般的に、リスク回避型の投資家は、リスク選好型の投資家よりも高いヘッジ比率を好みます。ヘッジ比率を理解することは、投資家が効果的なリスク管理戦略を構築するために重要です。ヘッジ比率を調整することで、投資家は市場のボラティリティの影響を軽減し、ポートフォリオの全体的なリスクを管理することができます。
投資情報

投資用語解説:DNSとは?

- 投資用語解説DNSとは?-# DNS(デジグネイティド・タイム・ネット・セトルメント)とは?DNS(デジグネイティド・タイム・ネット・セトルメント)とは、証券取引において、約定から受渡までの期間を定めた決済方法のことです。具体的には、「取引日(T日)から数えて何営業日目に決済する」というルールに基づいて取引が行われます。例えば、「T+2」と表記される場合は、取引日から2営業日後に決済が行われることを意味します。DNSは、国際的な証券取引において広く採用されている決済方法であり、日本でも多くの金融商品取引で採用されています。
投資情報

投資の基礎知識:『最終需要』を理解する

経済活動において、モノやサービスに対する需要は様々な形で存在します。その中でも『最終需要』は、GDP(国内総生産)を構成する重要な要素となります。簡単に言えば、『最終需要』とは、消費者や企業、政府などが、自身の使用や消費を目的としてモノやサービスを購入する需要のことです。例えば、あなたが新しいスマートフォンを購入したり、企業が工場設備を導入したり、政府が道路を建設したりする際に発生する需要が、『最終需要』に該当します。
投資情報

企業年金における「財政再計算」とは?

企業年金は、従業員の将来のために積立を行い、長期的に運用を行う制度です。その中で、「財政再計算」は、将来の年金給付の安定的な支給を確保するために非常に重要な役割を担っています。財政再計算とは、簡単に言うと、企業年金の健全性を確認し、将来の見通しを立てるための定期的な健康診断のようなものです。具体的には、将来の年金支給額や積立金の運用状況などを、経済状況や人口動態などの変化を踏まえて再計算します。そして、もしも積立金の不足が見込まれる場合には、企業は掛金の増額などの対策を講じる必要があるのです。
組織・団体

ユーログループ:ユーロ圏の金融政策を動かす影の立役者?

- ユーログループユーロ圏の金融政策を動かす影の立役者?-# ユーログループとは?その役割と重要性を解説ユーロ圏の経済は、単一通貨ユーロによって強く結びついています。そして、このユーロ圏の金融政策において、重要な役割を担う組織の一つが「ユーログループ」です。ユーログループは、ユーロ圏19カ国の財務大臣で構成される非公式な会合です。毎月一度、ユーロ圏の経済状況や政策課題について議論を重ね、合意形成を目指します。その決定は、ユーロ圏全体の金融政策に大きな影響力を持つため、ユーログループは「ユーロ圏の影の司令塔」とも呼ばれています。ユーログループの主な役割は、ユーロ圏の経済・財政政策の調整です。具体的には、ユーロ圏全体の経済見通しやリスク評価、財政政策の協調、金融市場の安定化などについて議論します。また、ユーロ圏の金融安定メカニズムである欧州安定メカニズム(ESM)の運営にも関与しています。ユーログループは、法的根拠を持たない非公式な会合である点が特徴です。これは、ユーロ圏創設当初、加盟国間で経済・財政政策の統合が十分に進んでいたとは言えず、正式な組織としてしまうと、各国の主権を侵害する可能性があったためです。しかし、ユーログループの決定は、各国の財務大臣の合意に基づいているため、実際には強い政治的な影響力を持っています。ユーロ圏は、近年、債務危機やコロナ禍など、様々な課題に直面してきました。ユーログループは、こうした危機において、迅速かつ柔軟な意思決定を行うことで、ユーロ圏の安定に大きく貢献してきました。今後も、ユーロ圏経済の安定と成長のために、ユーログループの役割はますます重要になっていくと考えられます。
投資情報

現金主義会計とは?投資におけるメリット・デメリットを解説

現金主義会計とは、実際に現金の収入と支出があった時点で、それぞれを収益と費用として計上する会計方法です。例えば、商品を売却した際に、代金を実際に受けたタイミングで収益を計上します。反対に、商品を仕入れた際に、実際に代金を支払ったタイミングで費用を計上します。シンプルで分かりやすいという点が、現金主義会計の大きな特徴と言えるでしょう。高度な簿記の知識がなくても、比較的容易に理解・運用できます。そのため、個人事業主や中小企業など、会計処理に専門的な担当者を置かないケースで広く採用されています。
投資情報

デット・ファイナンスとは?仕組みとメリット・デメリットを解説

デット・ファイナンスとは、企業が事業に必要な資金を、金融機関などから借入によって調達する資金調達方法のことです。借入には、銀行などからお金を借りる「融資」や、社債を発行して投資家からお金を集める「社債発行」など、さまざまな方法があります。いずれの場合も、企業は借り入れたお金の元本に加えて、利息を支払う義務を負います。デット・ファイナンスは、企業にとって資金調達を行うための主要な手段の一つです。一方で、返済の義務が生じるため、企業は返済能力を慎重に見極める必要があります。
投資情報

年金運用の要!運用指針を徹底解説

「老後の生活資金は年金で確保する」。誰もがそう考えるからこそ、年金制度は私たちの生活にとって非常に重要なものとなっています。そして、その大切な年金を将来にわたって安定的に給付するために欠かせないのが「年金積立金の運用」です。この年金積立金の運用を行う上で、いわば羅針盤の役割を果たすのが「運用指針」です。年金積立金は、国民から預かった大切な財産です。そのため、長期的な視点に立ち、リスクとリターンのバランスを適切に保ちながら、安全かつ効率的な運用を行う必要があります。この運用目標や、リスク管理、資産配分などの基本的な考え方をまとめたものが「運用指針」なのです。
投資情報

投資と物欲の関係:賢く付き合うには?

投資と物欲は、一見相反する概念のように思えるかもしれません。しかし実際には、物欲をうまく利用することで投資のモチベーションを高め、成功に繋げることも可能です。例えば、高級ブランド品や旅行など、自分が欲しいものを具体的にイメージすることで、投資目標がより明確になり、日々の努力や我慢にも意味を見出すことができます。将来の豊かな生活を想像することで、短期的な消費よりも長期的な資産形成を優先しようという意識が芽生えるのです。一方で、物欲に振り回されてしまうことは投資において大きなリスクとなります。最新のスマートフォンや流行のファッションアイテムなど、目先の欲求に流されて衝動的な消費を繰り返していると、投資に回せる資金が減ってしまうだけでなく、計画的な資産運用も難しくなります。大切なのは、物欲と適切な距離感を保ちながら、それを投資のモチベーションへと転換させることです。自分にとって本当に必要なものを見極め、浪費と投資のバランスを意識することで、より充実した人生を送ることができるでしょう。
投資情報

日計り取引で利益を狙うコツ

日計り取引とは、その日のうちに株などの金融商品を売買し、取引を完結させる投資スタイルです。例えば、朝に株を買って、夜には売却するといったイメージですね。次のセクションから、日計り取引のメリット・デメリットや具体的な取引方法について解説していきます。
投資情報

投資の基礎知識:忠実義務とは?

投資の世界では、「忠実義務」という言葉が頻繁に登場します。これは、投資家から資産の運用や管理を任された者が、常に投資家の利益を最優先に考え、誠実かつ忠実に業務を行う義務のことを指します。例えば、投資信託では、投資信託会社や運用会社は、投資家から預かった資金で運用を行う際、常に投資家の利益を第一に考えて投資判断を行う必要があります。この原則は、金融商品取引法などでも定められており、投資家を守るための重要な概念となっています。
株式投資

投資初心者のための減資入門

減資とは、企業が資本金の額を減らすことを指します。 株式会社の場合、資本金は事業の資金として重要な役割を担っており、その額は会社の信用度を測る指標の一つとなっています。 減資を行うということは、一見すると会社の体力や信用力が低下したと受け取られかねません。 しかし実際には、会社の経営状況や将来展望に応じて、戦略的に減資を行うケースも少なくありません。