固定相場制とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

固定相場制とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

投資をしたい

先生、「固定相場制」って、何だか難しそうです。具体的にどんなものか、教えてください。

投資研究家

例えば、ある国の通貨が常に1ドル=100円と決まっている状態を想像してみて下さい。これが固定相場制です。経済的に不安定な国でよく使われます。

投資をしたい

なるほど。でも、常に1ドル=100円に固定されていると、何か困ったことは起きないんですか?

投資研究家

良い質問ですね。固定相場制では、為替レートが変動しないため、輸出入で不利になる場合もあります。例えば、円安になっても1ドル=100円のままだと、輸出企業は利益が減ってしまいます。

固定相場制とは。

投資の世界でよく聞く「固定相場制」とは、国の通貨の価値を一定の範囲内に保つ仕組みのことです。経済基盤が弱く、為替レートの変動によって経済が不安定になりやすい国では、この固定相場制がよく採用されています。 多くの場合、貿易で関係の深い国の通貨に自国通貨の価値を連動させる「ペッグ制」が取られており、為替レートの変動に左右されずに安定した貿易を行うことが可能になります。また、特定の国だけでなく、複数の国の通貨の平均値に連動させる「バスケット制」を採用する場合もあります。

固定相場制の仕組み

固定相場制の仕組み

固定相場制とは、一国の通貨の価値を、特定の通貨や金(ゴールド)などの価値に固定する制度のことです。

例えば、日本の円の価値を1米ドル=100円に固定するとします。この場合、市場で変動する為替レートに関わらず、常にこのレートが維持されるように、各国の中央銀行が通貨の買い入れや売却などの介入を行います

このように、固定相場制では、為替レートが一定に保たれるため、企業は海外との取引において為替リスクを回避することができます。また、通貨価値の安定は物価の安定にもつながり、経済活動の安定化を促進する効果も期待できます。

メリット:安定した貿易環境

メリット:安定した貿易環境

固定相場制下では、為替レートが一定に保たれるため、企業は将来の為替変動リスクを考慮せずに、輸入や輸出の計画を立てることができます。これは、特に貿易に大きく依存する国にとって大きなメリットと言えるでしょう。為替変動による不確実性が減ることで、企業はより積極的に海外進出や取引を行うようになり、国際貿易の促進に繋がります。また、価格の変動も抑えられるため、消費者は海外製品を安定した価格で購入できるというメリットもあります。

メリット:インフレ抑制効果

メリット:インフレ抑制効果

固定相場制下では、為替レートが安定しているため、輸入価格が安定し、国内の物価上昇、つまりインフレを抑える効果が期待できます。 為替レートの変動による輸入価格の上昇がないため、企業は原材料や製品の仕入れ価格を予測しやすくなり、安定した事業計画を立てられるようになります。これは、消費者にとっても、物価が安定することで生活設計が立てやすくなるというメリットにつながります。

デメリット:通貨危機のリスク

デメリット:通貨危機のリスク

固定相場制は一見安定的に思えますが、通貨危機のリスクと常に隣り合わせです。国際収支が悪化した場合、変動相場制では為替レートが調整弁の役割を果たしますが、固定相場制ではそれができません。
そのため、政府が市場介入を強いられることになり、多額の外貨準備が必要となります。もし外貨準備が底を尽きれば、通貨の価値が暴落する通貨危機に陥る可能性が高まります。 1997年のアジア通貨危機は、固定相場制を採用していた国々が連鎖的に通貨危機に陥った事例として、記憶に新しいところです。

デメリット:金融政策の自由度制限

デメリット:金融政策の自由度制限

固定相場制を採用すると、為替レートを一定の水準に保つために、自国の経済状況よりも為替の安定を優先した金融政策を強いられる場面が出てきます。具体的には、景気が低迷している際に金融緩和を行いたいと思っても、それが自国通貨の減価につながると判断された場合、為替介入によって金利操作などが制限されてしまいます。つまり、国内の経済状況に合わせて機動的に金融政策を行うことが難しくなるのです。

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