景気に左右される?市況産業を理解しよう
投資をしたい
先生、『市況産業』って、景気で業績が変わるって言うけど、具体的にどんな産業のことですか?
投資研究家
良い質問だね!例えば、景気が良くて皆が車を買うぞ!ってなったら、車を作るのに必要な鉄鋼の需要はどうなるかな?
投資をしたい
あ!鉄鋼の需要も増えるから、鉄鋼業は景気が良くなると業績が上がるんですね!
投資研究家
その通り!このように、景気の変動によって需要が大きく変わる鉄鋼業や、繊維、紙・パルプなどの産業を『市況産業』って言うんだ。反対に、需要が景気に左右されにくい産業もあるんだよ。
市況産業とは。
「市況産業」とは、投資用語の一つで、鉄鋼、繊維、紙・パルプなどのように、その時々の市場の状況(市況)によって、製品の価格や受注量が大きく変動する産業のことです。見込み生産を行うため、景気の動向に大きく左右されるという特徴があります。一方、顧客からの注文を受けてから生産を行う産業は「受注産業」と呼ばれます。
市況産業とは?その特徴とメカニズム
– 市況産業とは?その特徴とメカニズム
景気の良い時は業績が上がり、不景気になると業績が悪化する。企業活動を行う上で、景気の影響を大きく受けるのが「市況産業」です。
では、具体的にどのような産業が市況産業と呼ばれ、どのような特徴を持っているのでしょうか?今回は、市況産業の定義やメカニズム、代表的な業界について詳しく解説していきます。
市況産業とは、需要や価格の変動が激しく、景気の波に業績が大きく左右されやすい産業を指します。鉄鋼、非鉄金属、化学、造船、海運など、川上産業に多く分類されます。これらの産業は、製品の価格が需要と供給のバランスによって大きく変動する特徴があります。
例えば、好景気になると工場の稼働率が上がり、製品の需要が高まります。その結果、製品の価格が上昇し、市況産業の業績は向上します。反対に、不景気になると工場の稼働率が低下し、製品の需要が減退します。その結果、製品の価格が下落し、市況産業の業績は悪化します。
このように、市況産業は景気の影響を受けやすく、業績が不安定になりやすいという側面があります。しかし、一方で、好景気時には大きな利益を上げることができ、経済全体を牽引する役割も担っています。
景気変動の影響を受けやすい理由:見込み生産のリスク
市況産業は、その名の通り景気状況によって業績が大きく変動する産業です。特に、需要を予測してあらかじめ生産を行う「見込み生産」を特徴とする企業が多い点が、景気変動の影響を受けやすい理由として挙げられます。
見込み生産では、将来の需要を見込んで商品を生産するため、需要が予測通りであれば効率的に商品を供給できます。しかし、景気後退などで需要が減退した場合、過剰な在庫を抱え、大きな損失を招く可能性があります。逆に、好景気で需要が急増した場合には、供給不足に陥り、機会損失を生む可能性も孕んでいます。
このように、見込み生産にはリスクが伴うため、市況産業の企業は、常に市場動向を注視し、需要予測の精度を高めることが重要となります。また、需要変動リスクを軽減するために、受注生産を取り入れるなど、生産体制の柔軟性を高めることも求められます。
代表的な市況産業:鉄鋼、繊維、紙・パルプ
景気動向と密接に関わる「市況産業」。その中でも、鉄鋼、繊維、紙・パルプは代表的な存在と言えます。これらの産業は、経済活動の活発さに応じて需要が大きく変動する特徴があります。
鉄鋼は、自動車や建設など幅広い産業の基礎素材として使用されます。そのため、経済が好調でモノづくりが活発になると鉄鋼の需要も増加し、価格も上昇します。一方で、景気が低迷すると需要は減退し、価格も下落する傾向にあります。
繊維産業は、衣料や産業資材などを生産しています。景気が良くなると消費意欲が高まり、新しい服や高級な素材の需要が増加するため、繊維産業は活況を帯びます。しかし、景気悪化に伴い消費が冷え込むと、繊維製品の需要も減少し、業界全体が厳しい状況に陥りやすくなります。
紙・パルプは、新聞や書籍、段ボールなどの原料となります。景気の影響を受けやすい側面として、広告需要の変化が挙げられます。景気が良い時は企業の広告活動が活発化するため、広告掲載用の紙需要が増加します。逆に景気が悪化すると広告費が削減され、紙需要も減少する傾向にあります。
このように、鉄鋼、繊維、紙・パルプは、いずれも景気の動向に収益が大きく左右される産業です。これらの産業の動向を把握することで、景気全体の動きを予測する一つの材料となるでしょう。
市況産業への投資:リスクとリターンのバランス
市況産業への投資は、ハイリスク・ハイリターンとして知られています。 景気が良くなれば企業収益も上がり、株価も上昇するため、大きな利益を得られる可能性があります。しかし反面、景気悪化の影響を受けやすく、市況次第では大きな損失 を被る可能性も秘めている点は注意が必要です。
市況産業への投資を検討する際は、徹底的な調査と分析が不可欠です。世界経済の動向、業界全体の需給バランス、企業の財務状況などを加味した上で、投資するかどうか、投資するならどの程度の規模で行うのかを慎重に判断する必要があります。また、リスク管理を徹底 し、損失を限定するための戦略を立てることも重要と言えるでしょう。
受注産業との違い:安定性 vs 成長性
企業は、大きく「受注産業」と「市況産業」に分けられます。受注産業は、顧客から事前に注文を受けて製品やサービスを提供するため、収益が安定しやすいという特徴があります。一方、市況産業は、市場の需要に応じて製品やサービスを供給するため、景気の影響を受けやすいという側面があります。
受注産業は、顧客との契約に基づいて事業を行うため、景気が悪化した場合でも、ある程度の収益を確保できる可能性が高いです。その反面、需要が急増する局面では、受注量に限りがあるため、大きな利益を得ることが難しい場合があります。一方、市況産業は、景気が良くなると需要が増加し、大きな利益を上げることができます。しかし、景気が悪化すると、需要が減少し、収益が大きく落ち込むリスクもあります。
このように、受注産業と市況産業は、安定性と成長性という点で、それぞれ異なる特徴を持っています。企業分析を行う際には、その企業がどちらの産業に属しているのかを理解しておくことが重要です。そして、それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で、投資判断を行うようにしましょう。