即時グロス決済(RTGS)とは?仕組みとメリットを解説
投資をしたい
先生、「即時グロス決済」ってどういう意味ですか?難しそうな言葉でよく分かりません。
投資研究家
そうだね。「即時グロス決済」、英語ではReal-Time Gross Settlementと言って、RTGSと略すんだけど、銀行間のお金のやり取りを1件ずつ、リアルタイムで決済する仕組みのことなんだ。
投資をしたい
1件ずつ、リアルタイムですぐに決済するってことですか?
投資研究家
そうだよ。例えば、A銀行の太郎さんからB銀行の花子さんへ100万円を送金する場合、従来の方法だと、銀行間でまとめて処理するから、花子さんの口座に反映されるまで時間がかかっていたけど、「即時グロス決済」だと、送金指示と同時にA銀行からB銀行へ100万円が即座に移動するんだ。だから、すぐに花子さんの口座に反映されるんだよ。
即時グロス決済とは。
投資用語の「即時グロス決済」は、英語でreal-time gross settlement:RTGS(リアル・タイム・グロス・セトルメント)といい、日本銀行が金融機関からの振替指図を一件ずつ、リアルタイムに決済する方法のことです。
即時グロス決済(RTGS)の定義
即時グロス決済(Real Time Gross Settlement RTGS)とは、金融機関間で行われる資金移動システムの一つです。
「即時」の名前の通り、資金の移動指示が銀行に届いた時点で、金額にかかわらずリアルタイムで決済処理が行われます。
また、「グロス」とは、個々の取引を合算せずに、一つずつ完結させることを意味します。
つまり、RTGSは、高額な資金移動を、リアルタイムで、かつ確実に処理できるシステムとして、金融システムにおいて重要な役割を担っています。
RTGSの仕組みを解説
RTGSは、リアルタイムで資金を移動させる仕組みです。銀行間で資金移動が行われる際に、中央銀行の口座を経由することで、リアルタイムな決済を実現しています。
具体的には、A銀行からB銀行へ100万円を送金する場合、A銀行は中央銀行に保有する口座から100万円を引き落とし、中央銀行はB銀行の中央銀行口座へ100万円を入金します。この処理は取引ごとに個別に行われ、送金指示が銀行から中央銀行に届いた時点で、資金は移動します。
このように、RTGSは中央銀行の口座を利用することで、資金移動の安全性を確保しながら、リアルタイムでの決済を実現しています。
RTGSのメリット
RTGSには、資金移動の即時性、決済の確実性、低コストといったメリットがあります。
まず、銀行営業日内であれば、送金指示後、ほぼリアルタイムで着金が完了します。これは、従来の銀行振込のように処理時間を待つ必要がないため、ビジネスのスピードアップに繋がります。
また、中央銀行のシステムを通じて行われるため、決済の確実性が高いのも特徴です。送金側の資金不足などの問題が発生しない限り、決済が失敗するリスクは極めて低くなります。
さらに、手数料が比較的低く抑えられている点もメリットとして挙げられます。特に、高額な取引を行う企業にとっては、手数料負担を軽減できる点は大きな魅力と言えるでしょう。
RTGSのデメリット
RTGSは多くのメリットを持つ決済システムですが、完璧なシステムというわけではありません。以下に、RTGSのデメリットをいくつかご紹介します。
まず、RTGSは高額決済を対象としているため、少額決済には不向きです。少額決済を何度も行う必要がある場合、手数料がかさんでしまう可能性があります。また、リアルタイム処理であるがゆえに、処理の遅延やエラーが発生した場合の影響が大きいという側面もあります。特に、大規模なシステム障害が発生した場合、金融システム全体に影響が及ぶ可能性も否定できません。さらに、システムの構築・維持には高額なコストがかかるため、発展途上国などでは導入が難しいという側面も挙げられます。
RTGSの利用シーンと将来性
– RTGSの利用シーンと将来性
RTGSは主に、高額な資金決済が必要な場面で利用されます。具体的には、企業間の大口取引、金融機関間決済、証券取引、国際送金などが挙げられます。
従来、これらの取引には処理に時間がかかり、資金の流動性が低下する可能性がありました。しかし、RTGSの導入により、リアルタイムでの資金移動が可能となり、資金の効率的な運用や取引の迅速化を実現しています。
さらに、FinTechの進化に伴い、RTGSはますます重要な役割を担うと予想されます。例えば、ブロックチェーン技術を活用した次世代型決済システムとの連携や、個人間での少額決済への対応などが期待されています。
RTGSは、金融システムの安定性と効率性を向上させる上で欠かせないインフラストラクチャとして、今後も進化を続けながら、私たちの経済活動を支えていくでしょう。