企業年金における「財政再計算」とは？
投資をしたい
先生、「財政再計算」って、どういう意味ですか？ 厚生年金基金や確定給付企業年金で出てくるみたいなんですが…
投資研究家
よくぞ聞いてくれました！ 「財政再計算」は簡単に言うと、年金制度がちゃんと将来も支払っていけるように、定期的に掛金や給付の見直しをすることなんだよ。
投資をしたい
将来も支払っていけるように、ですか？ どうして見直しが必要なんですか？
投資研究家
例えば、みんなが長生きするようになったら、年金を払う期間も長くなるよね？ それに、物価が上がれば年金の価値も調整しないといけない。だから、経済状況や人口の変化に合わせて、財政状況を再計算して、年金制度を維持する必要があるんだよ。
財政再計算とは。
「財政再計算」とは、年金制度における将来予測を見直して掛金などを再計算することです。厚生年金基金では5年ごと（初回は3年後）に、確定給付企業年金では少なくとも5年ごとに行います。
具体的には、将来の年金給付に必要な資金を予測するために用いる基礎率の見直しを行い、それに基づいて掛金を再計算します。厚生年金基金では、代行保険料率の計算も同時に行います。確定給付企業年金では、5年ごとの見直しに加えて、給付設計の変更や加入者数の大きな変動、継続基準に抵触した場合などにも、掛金の再計算が必要となります。
財政再計算とは何か？
企業年金は、従業員の将来のために積立を行い、長期的に運用を行う制度です。その中で、「財政再計算」は、将来の年金給付の安定的な支給を確保するために非常に重要な役割を担っています。
財政再計算とは、簡単に言うと、企業年金の健全性を確認し、将来の見通しを立てるための定期的な健康診断のようなものです。具体的には、将来の年金支給額や積立金の運用状況などを、経済状況や人口動態などの変化を踏まえて再計算します。そして、もしも積立金の不足が見込まれる場合には、企業は掛金の増額などの対策を講じる必要があるのです。
なぜ財政再計算が必要なのか？
企業年金は、従業員が老後の生活を送る上で重要な役割を担っています。しかし、経済環境の変化や従業員の年齢構成の変化などによって、年金財政は常に変動する可能性があります。
将来にわたって安定的に年金を給付していくためには、定期的に年金財政の健全性を評価し、必要があれば給付水準の見直しや掛金の調整などを行う必要があります。この評価と見直しのプロセスが、まさに「財政再計算」なのです。
厚生年金基金と確定給付企業年金における違い
企業年金制度の一つである確定給付企業年金では、将来受け取れる年金額が給与や勤続年数によってあらかじめ決まっているため、企業は将来の年金原資を計画的に積み立てる必要があります。しかしながら、経済環境の変化や運用成績の変動によって、当初の見込みと実績との間に差異が生じることがあります。その差異を修正し、年金財政の健全性を保つために定期的に行われるのが「財政再計算」です。
この財政再計算は、かつて多くの企業が導入していた厚生年金基金にも存在していました。しかし、両者にはいくつかの違いがあります。大きな違いの一つが、実施主体です。厚生年金基金の場合は、基金自身が財政再計算を行い、その結果必要となる費用は加入企業が負担していました。一方、確定給付企業年金の場合は、企業自らが財政再計算を行い、その結果生じた不足は企業自身が責任を持って積み立てなければなりません。このように、確定給付企業年金においては、企業の責任がより大きくなっていると言えるでしょう。
財政再計算が行われるタイミング
企業年金の財政状態を健全に保つために重要な役割を果たす「財政再計算」。この財政再計算は、一体どのようなタイミングで実施されるのでしょうか？
大きく分けて、財政再計算が行われるタイミングは、定期的なものと臨時的なものの2つがあります。
まず、定期的なものとしては、おおむね3年に1度、企業年金の制度運営の状況を評価するために実施されます。この際には、将来の給付に必要な積立金の状況などを精査し、必要があれば給付水準の見直しや掛金の変更などが検討されます。
一方、臨時的なものとしては、企業合併や会社分割といった大きな組織変更があった場合や、法改正などによって年金制度の変更が必要となった場合に実施されます。
このように、財政再計算は企業年金の運営状況や外部環境の変化に応じて柔軟に行われます。従業員にとってより安定した年金制度を維持していくために、企業は適切なタイミングで財政再計算を実施し、必要な対応策を講じていく必要があると言えるでしょう。
財政再計算によって何が変わるのか？
企業年金は、将来の給付を約束する制度であるため、長期的な視点に立って、将来の給付に必要な資産が不足することなく、健全な状態を維持していく必要があります。しかし、経済環境の変化や従業員の年齢構成の変化などによって、当初想定していた前提条件と異なる状況になることがあります。
このような場合に、将来の給付の見通しや給付に必要な掛金の見直しを行うことを「財政再計算」と言います。財政再計算では、予定利率や退職率、死亡率などの前提条件を見直し、将来の年金資産や給付費用の予測を再度行います。
財政再計算の結果、将来の給付に必要な資産が不足すると見込まれる場合には、企業は掛金を増額したり、給付水準を引き下げたりするなどの対応が必要となる場合があります。また、従業員の一部負担金がある場合、従業員の負担が増える可能性もあります。逆に、資産に余裕があると見込まれる場合には、掛金の減額や給付水準の引上げを行う可能性もあります。