簿価評価とは?投資判断での注意点も解説
投資をしたい
先生、「簿価評価」ってどういう意味ですか?難しそうな言葉でよく分かりません。
投資研究家
そうだね。「簿価評価」は、簡単に言うと、買った時の値段で資産の価値を判断する方法のことだよ。例えば、100万円で機械を買ったとすると、何年も経って古くなっても、帳簿上は100万円として扱うんだ。
投資をしたい
なるほど。でも、時間が経てば機械も古くなって、実際の価値は下がるんじゃないですか?
投資研究家
その通り!簿価評価は分かりやすいけど、時間の経過による価値の減少を反映できないというデメリットもあるんだ。だから、実際の企業価値を正確に知るためには、他の評価方法も組み合わせて考える必要があるんだよ。
簿価評価とは。
投資の世界でよく使われる「簿価評価」とは、購入した時点での資産価格を基準に、その資産の価値を評価する方法です。ここでいう「簿価」とは「帳簿価額」を省略した言葉で、資産を企業の帳簿に記録する際の価格を指します。
簿価評価の基礎知識
簿価評価とは、企業の財務諸表に記載されている資産や負債の価値を評価する方法です。
貸借対照表(B/S)に計上されている金額をもとに評価を行うため、取得原価主義とも呼ばれます。
具体的には、資産は取得原価から減価償却費などを差し引いた金額で、負債は返済すべき元本で評価されます。
簿価評価は、客観的なデータに基づいているため、理解しやすく、企業の財務状況を把握する上での基礎となります。
メリット:わかりやすさと比較の容易さ
簿価評価の最大のメリットは、そのわかりやすさにあります。貸借対照表という誰でもアクセスできる開示情報から、比較的簡単に算出できるため、専門的な知識がなくても理解しやすい点が挙げられます。また、同じ基準で計算された他の企業の簿価と比較することが容易であるため、業界内での相対的な財務状況を把握する際にも役立ちます。
デメリット:市場価値との乖離
簿価評価は、取得原価を基準とするため、現在の市場価値を正確に反映していないケースがあります。企業の業績や将来性、保有資産の価値変動などが加味されないため、市場価格と簿価との間に乖離が生じることがあります。例えば、業績が好調で将来性が期待される企業の場合、市場価値は簿価を大きく上回ることが一般的です。逆に、業績不振や資産価値の下落に見舞われている企業は、市場価値が簿価を下回る可能性があります。
そのため、投資判断においては、簿価評価だけで判断するのではなく、市場価値や企業の将来性なども加味した総合的な判断が重要になります。
投資判断における簿価評価の活用法
簿価評価は、企業の純資産価値を把握する上で重要な指標となりますが、投資判断においては、その特性を理解した上で活用する必要があります。
まず、簿価評価は過去の取引を基にした数値であるため、現在の企業価値を必ずしも反映しているわけではありません。企業の保有する資産や負債の市場価値は、経済状況や業界動向などによって変動するため、簿価と市場価値の間には乖離が生じることがあります。
また、簿価評価は、企業のブランド力や人材、技術力といった無形資産を十分に評価できていないケースがあります。これらの無形資産は、企業の将来的な収益力に大きく影響を与える可能性があるため、簿価評価だけでは企業の真の価値を見誤る可能性があります。
投資判断においては、簿価評価を一つの目安として捉え、市場価値に基づく指標である時価総額やPER、PBRなどと併せて分析することが重要です。さらに、企業の財務状況や収益力、将来性などを総合的に判断することで、より精度の高い投資判断が可能となります。
まとめ:簿価評価だけで判断せず多角的な分析を
簿価評価は、企業の財務状態を把握する上で重要な指標の一つですが、あくまでも過去の帳簿上の価値を表しているに過ぎません。将来の収益力や成長性を反映しているとは限らないため、投資判断においては、PERやROEなどの他の指標と併せて分析することが重要です。また、企業の事業内容や経営環境なども考慮し、多角的な視点から企業価値を評価する必要があります。