WI取引とは？発行日前取引のメリット・リスクを解説

WI取引とは？発行日前取引のメリット・リスクを解説

WI取引の概要：発行前に取引される証券

WI取引とは、「When Issued」の略称で、日本語では「発行日前取引」と呼ばれます。これは、株式や債券といった有価証券が新規に発行される際に、その発行価格が決定する前、つまり発行前に売買注文を行う取引のことを指します。

通常、新規発行の有価証券は、発行価格が決定した後に投資家へ販売されます。しかしWI取引では、投資家は発行前に将来の価格を見込んで注文を出すことができるのです。そして、実際に有価証券が発行され、発行価格が決定すると、その時点で注文が約定され、売買が成立します。

WI取引のメリット：発行価格の変動リスクを回避

WI取引では、投資家は発行前に発行価格と引受数を確定させることができます。これは、株式市場の変動が大きい場合や、IPOの需要が読みにくい場合に大きなメリットとなります。なぜなら、仮にブックビルディング期間中に市況が悪化し、当初想定していたよりも低い価格でIPOが決定した場合でも、WI取引では事前に決めた価格で株式を取得できるからです。つまり、WI取引は投資家にとって、発行価格の変動リスクを回避できるという大きなメリットがあります。

WI取引のデメリット：発行されないリスクが存在

WI取引は、発行が確定していない銘柄を売買できるというメリットがある一方、投資家にとって見過ごせないリスクも存在します。

その中でも特に注意が必要なのが、投資対象である株式や債券が実際に発行されないリスクです。WI取引は、企業が資金調達のために証券を発行する「前」に行われる取引です。つまり、取引時点では証券の発行が確定しておらず、企業の業績や市場環境の変化などによって発行が中止になる可能性もあるのです。

もしも投資した証券が発行されなかった場合、投資家は元本を失うだけでなく、取引にかかった手数料などの費用も負担しなければなりません。そのため、WI取引を行う際には、発行されないリスクを十分に理解しておくことが重要です。

WI取引の対象となる証券：債券を中心に

WI取引は、株式や債券など、様々な有価証券を対象とすることが可能ですが、特に債券が主要な取引対象となっています。債券は、株式と比べて価格変動リスクが低く、安定的な利回りを期待できるため、機関投資家など、リスクを抑えながら運用したい投資家からの人気が高い投資対象です。そのため、WI取引においても、債券は多くの投資家にとって魅力的な投資対象となっています。

WI取引を行う際の注意点：専門家への相談が重要

WI取引は、未公開株投資の中でも特に専門性の高い取引です。そのため、個人投資家だけで判断するのではなく、専門家の意見を聞くことが非常に重要になります。

具体的には、弁護士や税理士、ファイナンシャルプランナーなどに相談し、自分自身の投資経験やリスク許容度、投資目標などを踏まえた上で、WI取引を行うべきかどうか、行うのであればどの程度の規模で行うべきかなどを検討する必要があります。

専門家からは、取引に関する法的リスクや税務上の注意点、投資判断に必要な情報提供などを受けることができます。また、未公開株投資やスタートアップ企業に関する深い知識や経験を持つ専門家であれば、投資対象企業の将来性や成長可能性、競争環境などを分析し、投資判断の材料を提供してくれることもあります。

WI取引は、ハイリターンが期待できる一方で、リスクも大きい投資です。安易な気持ちで取引に臨むのではなく、専門家の意見を参考にしながら、慎重に判断していくようにしましょう。