投資用語解説：特定関係法人とは？

投資用語解説：特定関係法人とは？

特定関係法人とは？

特定関係法人とは、法人税法において、企業とその間で資本・人事・取引などの関係が密接であると認められる法人のことを指します。具体的には、親会社と子会社、兄弟会社などが該当します。

特定関係法人との取引は、通常の取引とは異なる税務上の取り扱いを受ける可能性があります。これは、税負担を不当に軽減することを防ぐための措置です。投資を行う際には、特定関係法人に関する知識を深め、税務リスクを把握しておくことが重要となります。

上場投資法人等との関係性

上場投資法人等は、多くの投資家から集めた資金を元に、不動産などの運用を行い、その収益を投資家に分配する投資スキームです。しかし、その構造上、上場投資法人等自身が直接事業を行うことは難しく、資産の運用や管理を外部の企業に委託する必要があります。この時、委託先として選ばれることが多いのが「特定関係法人」です。

特定関係法人は、上場投資法人等と密接な関係を持つ企業を指し、資産運用会社やスポンサー企業の子会社などが該当します。上場投資法人等は、これらの特定関係法人と業務委託契約を締結し、資産の運用や管理を委託することで、効率的かつ専門性の高い事業運営を実現しています。

しかし、特定関係法人との間には利益相反の可能性も潜んでいます。例えば、特定関係法人が自社の利益を優先して、上場投資法人等にとって不利な取引を行ってしまう可能性も考えられます。そのため、法令では、上場投資法人等と特定関係法人との間の取引について、厳格なルールが定められています。具体的には、取引内容の開示や、一定の取引については投資主総会の承認が必要となるなど、透明性と公正性の確保が求められています。

資産運用会社への影響力

特定関係法人は、資産運用会社に対して強い影響力を持つ可能性があります。これは、特定関係法人が、その関連性を用いて、運用会社に対して特定の投資行動や意思決定を促すことが考えられるためです。例えば、特定関係法人である親会社が、自社の業績を良く見せるために、子会社である資産運用会社に対して、自社株の購入を指示するといったケースが考えられます。このような場合、運用会社は、本来の投資判断とは異なる行動を取らざるを得ず、結果として、顧客である投資家の利益を損なう可能性も出てきます。そのため、投資信託などへの投資を行う際には、目論見書などで、運用会社とその特定関係法人との関係性について確認することが重要です。

特定関係法人となるケース

特定の関係法人とは、一方が他方の会社の経営に大きな影響力を持っていると判断される企業間関係のことを指します。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

1. -親会社と子会社の関係- 親会社が子会社の議決権の過半数を所有している場合や、役員の過半数を派遣している場合などが該当します。
2. -兄弟会社- 共通の親会社を持つ会社同士も、特定関係法人とみなされる可能性があります。
3. -取引関係による影響力- 長期間にわたる安定的な取引関係や、多額の資金貸付などを通じて、一方が他方の経営に大きな影響力を持っていると認められる場合も該当します。

特定関係法人の存在は、企業の税務や会計処理に影響を与える可能性があります。そのため、投資家は企業分析を行う際、特定関係法人の有無やその関係性に注意する必要があります。

投資家にとっての重要性

企業が公開する財務諸表には、その企業と特別な関係を持つ「特定関係法人」との取引情報が開示されています。一見、難しそうに見えるこの情報ですが、投資家である私たちにとって実は非常に重要な意味を持つのです。

特定関係法人との取引は、市場を通じた公正な価格ではなく、特別な関係に基づいて有利な条件で設定されている可能性があります。例えば、不採算事業を特定関係法人に押し付けたり、逆に利益を特定関係法人に移転させたりするケースも考えられます。

もし、このような取引が財務諸表上に適切に開示されていなければ、私たちは企業の本当の収益状況や財務状態を見誤ってしまう可能性があります。ひいては、不適切な投資判断に繋がりかねません。

そのため、投資をする際には、特定関係法人との取引内容やその影響を注意深く確認することが重要です。企業の透明性を見極め、健全な投資判断を心がけましょう。