債券投資の基礎:利含みとは?
投資をしたい
先生、「債券等の利含み」ってどういう意味ですか? 経過利子を含めて債券の売買単価を計算するって書いてあるんですけど、よくわかりません。
投資研究家
いい質問だね!例えば、あなたが1年間で100円利息がもらえる債券を持っているとします。購入から半年後に売却するとします。この時、あなたはまだ利息を受け取っていませんが、半年分の利息50円を受け取る権利を持っているよね?
投資をしたい
あ、確かに!でも、それが売買単価とどう関係があるんですか?
投資研究家
債券を売却する際には、この受け取っていない利息分も考慮して売買価格を決めようというのが「利含み」だよ。つまり、この場合、債券の価格に50円を上乗せして売却することになるんだ。
債券等の利含みとは。
投資の世界でよく使われる「債券等の利含み」という言葉は、債券の価格を決める際に、発行日から現在までの利息(経過利息)も考慮することを意味します。
債券の利息と利払日
債券投資では、定期的に利息を受け取れることが大きな魅力です。この利息は「クーポン」と呼ばれ、あらかじめ決められた利率と頻度で支払われます。例えば、年利2%、年2回支払いの債券であれば、半年ごとに1%の利息を受け取ることができます。
この利息の支払日は「利払日」と呼ばれ、債券を購入する際に確認しておくべき重要事項です。利払日は債券の種類によって異なり、年1回、半年ごと、3ヶ月ごとなど、様々なパターンが存在します。
また、債券は発行市場で購入するだけでなく、証券会社を通じて個人間で売買される流通市場も存在します。この流通市場で購入する際は、既に経過した利払期間分の利息を考慮する必要があります。これが「利含み」と呼ばれるものです。
利含みとは何か?
債券投資において、利益を確定させる行為のひとつに「利含み」があります。利含みとは、保有している債券の価格が上昇したタイミングで売却し、その差額で利益を得ることを指します。
例えば、100万円で購入した債券が、市場金利の変動などによって価格が105万円に上昇したとします。この時点で売却すれば、5万円の利益を得られます。これが利含みです。
利含みは、利益を確定させ、投資元本を確実に増やすという点で有効な手段です。一方で、売却後に債券価格がさらに上昇した場合、得られたであろう利益を逃してしまう可能性も孕んでいます。
利含みが発生する仕組み
債券価格は、市場の金利動向と密接な関係があります。一般的に、市場金利が上昇すると債券価格は下落し、逆に市場金利が下落すると債券価格は上昇します。
例えば、あなたが年利3%の債券を100万円で購入したとします。その後、市場金利が上昇し、新規に発行される債券の利回りが5%になったとしましょう。この場合、あなたの保有する3%の債券は魅力が薄れ、価格は下落します。なぜなら、投資家はより高い利回りの債券を求めるからです。逆に、市場金利が下落し、新規発行の債券利回りが1%になった場合、あなたの保有する3%の債券は相対的に魅力的になり、価格は上昇します。
利含みとは、保有している債券の価格が上昇したタイミングで売却することで、売却益を得ることを指します。上述の例で言えば、市場金利が下落して債券価格が上昇した局面で売却すれば、あなたは利含みを実現できます。
利含みはなぜ重要なのか?
債券投資において、利含みはリスク管理と収益確保の両面から非常に重要な戦略です。
債券価格は金利の動きと逆相関の関係にあり、金利が上昇すると債券価格は下落します。
保有している債券の価格が上昇した局面で売却し、利益を確定させる利含みは、金利上昇リスクから投資元本を守る効果があります。
また、得られた利益を再投資に回すことで、さらなる収益拡大を目指すことも可能です。
利含み計算の具体例
では、実際に利含み計算がどのように行われるのか、具体的な例を見ていきましょう。
例えば、あなたが1年前に額面100円、クーポンレート2%、償還期限10年の債券を100円で100本購入したとします。現在の市場金利が1%に低下したため、同じ条件の債券は110円で取引されています。この時、保有している債券を売却した場合、(110円 – 100円) × 100本 = 1,000円の利益が得られます。これが利含みです。
このように、利含みは債券価格の変動によって発生する利益であり、クーポンによる利息収入とは異なるものです。
利含み計算は、債券の種類や市場環境によって複雑になる場合もあります。しかし、基本的な考え方はこの例で示した通りです。利含みを理解することで、より効果的な債券投資戦略を立てることができるでしょう。