厚生年金基金「代行型」とは?仕組みとメリット・デメリット
投資をしたい
先生、「代行型」ってどういう意味ですか?厚生年金基金の給付形態の1つらしいんですけど、よくわかりません。
投資研究家
なるほど。「代行型」は簡単に言うと、国の老齢厚生年金と同じ仕組みで給付額を決めるんだけど、国よりも手厚く支給する制度だよ。例えば、老齢厚生年金の支給率が20%のところを、代行型だと30%に設定して、より多くの年金を受け取れるようにするんだ。
投資をしたい
国の年金に上乗せするんじゃなくて、国の年金と同じ計算方法で、支給率を高くするんですね。でも、なんでわざわざそんな制度があるんですか?
投資研究家
それは企業が従業員により良い退職後の生活を保障するために、国が支給する年金に上乗せして、より多くの年金を支給したいと考えたからなんだ。ただ、企業の負担が大きくなってしまう可能性もあるから、最近は新しい代行型の基金は作られていないんだ。
代行型とは。
「代行型」とは、厚生年金基金における3つの給付形態(加算型、共済型、代行型)のうちの1つで、投資用語としても使われます。国の老齢厚生年金と同じ計算方法を用いるため、給付設計がシンプルで分かりやすい点が特徴です。しかし、支給率が国の老齢厚生年金よりも高く設定されているため、企業にとっては退職金を移行しづらいという側面も持っています。1975年8月以降は新規設立が認められていません。
厚生年金基金の種類と代行型の位置づけ
企業が従業員のために実施する年金制度には、大きく分けて「厚生年金」と「厚生年金基金」の二つがあります。厚生年金は、国の制度であるため、すべての企業に加入義務があります。一方、厚生年金基金は、企業が独自に設立・加入する年金制度で、より手厚い保障を従業員に提供することを目的としています。
厚生年金基金には、運用方法の違いによって、「代行型」と「自行型」の二つに分けられます。代行型は、企業が積立金を年金基金に預け、年金基金がまとめて運用を代行する形式です。一方、自行型は、企業が自ら積立金の運用を行う形式です。
この章では、代行型厚生年金基金について、その仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
代行型の仕組みと特徴
代行型は、企業が独自に年金制度を運用するのではなく、年金基金に企業年金の運用を委託する形態です。企業は、従業員と折半で負担する企業年金の掛金を代行型厚生年金基金に預け、基金はその資金を運用し、従業員の退職後に年金として支給します。
代行型の特徴としては、企業が年金制度の設計や資産運用を行う必要がない点が挙げられます。これは、企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。また、代行型は複数の企業が参加するため、スケールメリットを活かして運用コストを抑えられる点もメリットです。
代行型のメリット
代行型厚生年金基金には、企業にとって以下のようなメリットがあります。
1. –コスト削減–
企業が独自に年金制度を運営する場合と比較して、運営費用を抑えることができます。これは、代行型が複数の企業で基金を共同運営し、事務処理などを集約することで、規模の経済が働くためです。
2. –企業年金の専門知識が不要–
年金制度の運営は複雑な側面もありますが、代行型であれば専門知識を持った外部機関に委託するため、企業は専門知識を習得する必要がありません。担当者の負担軽減はもちろん、人的資源を本業に集中させることができます。
3. –従業員満足度の向上–
充実した福利厚生制度は、従業員の安心感や企業への帰属意識を高める効果があります。代行型厚生年金基金は、従業員にとって魅力的な福利厚生となり、結果として採用活動の優位性や従業員の定着率向上に繋がる可能性があります。
代行型のデメリット
代行型は、企業年金連合会に業務を委託することで、運営の負担を軽減できるというメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
まず、企業年金連合会への委託手数料や事務費用などのコストが発生する点が挙げられます。これは、代行型が企業年金連合会という外部機関に運用や管理を委託する仕組みである以上、避けられないコストと言えるでしょう。
また、運用方法や制度設計が企業年金連合会に委ねられるため、自社のニーズに合わせた柔軟な運用や設計が難しいという側面もあります。特に、独自の福利厚生制度を導入したい企業にとっては、大きなデメリットとなる可能性があります。
さらに、加入企業の倒産などにより、年金資産が減少するリスクも考慮しなければなりません。代行型では、複数の企業が共同で年金資産を形成するため、他の加入企業の経営状況に影響を受ける可能性がある点に留意が必要です。
代行型を選択する際の注意点
代行型厚生年金基金への加入は、企業にとってメリットばかりではありません。導入を検討する際には、従業員の年齢構成や給与水準、将来の企業業績などを考慮する必要があります。
特に注意すべき点として、加入時の年齢や給与水準によっては、将来受け取れる年金額が減額されてしまう可能性があります。また、企業業績が悪化した場合、掛金負担が重荷となる可能性もあります。
代行型厚生年金基金は、専門家である年金数理人やコンサルタントに相談し、自社の状況に合わせて慎重に検討することが重要です。