企業年金運用成功の鍵!「運用の基本方針」とは?
投資をしたい
先生、「運用の基本方針」って、どんな企業年金でも作らないといけないんですか?
投資研究家
いい質問ですね。実は、受託保証型確定給付企業年金という種類のものだけは、「運用の基本方針」を作る義務がないんです。それ以外の企業年金は全て作る必要があります。
投資をしたい
そうなんですね。なんで、受託保証型確定給付企業年金だけ作らなくていいんですか?
投資研究家
それは、受託保証型確定給付企業年金の場合、企業年金の資産運用を保険会社に委託していて、運用責任を負わないからです。他の種類の企業年金は、自分たちである程度運用責任を負うので、「運用の基本方針」が必要になるんですね。
運用の基本方針とは。
「運用の基本方針」とは、企業年金における資産運用に関する基本的なルールブックのようなものです。特に、確定給付企業年金や厚生年金基金では、将来の給付を確実にするために、安定した運用で一定の収益を確保することが求められます。そこで、企業は、自社の財力や年金の成熟度、運用体制などを考慮した上で、どのような目標を持って、どのような資産構成で運用していくかなどを明確に定める必要があります。このルールブック作りを「運用の基本方針」の策定と呼び、受託保証型確定給付企業年金以外のすべての企業年金で義務付けられています。
「運用の基本方針」とは何か?
企業年金制度において、「運用の基本方針」は将来の年金給付を安定的に行うための羅針盤とも言える重要なものです。これは、企業年金の積立金をどのような方針で運用していくのか、その目的や目標、リスク管理、運用方法などを具体的に定めたものです。
運用の基本方針は、単なる書類ではありません。企業年金制度の運営に関わる全ての人が、長期的な視点に立って、年金資産を適切に管理・運用していくための共通認識となるものです。この方針に基づき、資産運用会社を選定したり、具体的な運用方法を検討したりすることになります。
なぜ「運用の基本方針」が重要なのか?
企業年金は、従業員の老後資金を形成する重要な制度です。その安定的な運用には、「運用の基本方針」の策定が欠かせません。なぜなら、「運用の基本方針」は、企業年金基金の運用における羅針盤となるからです。
具体的には、「運用の目的や目標」「リスク許容度」「資産配分の考え方」などを明確化することで、長期的な視点に立った、一貫性のある運用体制を構築することができます。
もし「運用の基本方針」が明確でなければ、短期的な市場の変動に翻弄され、結果として目標とする運用成果を達成できない可能性も出てきます。企業年金は長期的な運用が求められるため、ぶれない軸となる「運用の基本方針」が重要となるのです。
「運用の基本方針」の内容とは?
「運用の基本方針」は、企業年金制度を運営していく上で、将来の給付を安定的に確保し、かつ、積立金の着実な増加を目指すための道しるべとなるものです。企業年金の加入者や受給者の方々の大切な資産を適切に運用するために、その運用目標やリスク許容度、具体的な運用方法などを明確に定めます。
具体的には、「運用目標の明確化」「リスク管理の徹底」「資産構成比率の決定」「運用機関の選定基準」「パフォーマンス評価」といった項目について、詳細に規定するのが一般的です。それぞれの項目が密接に関係し合い、全体として整合性の取れたものになっていることが重要です。
誰が決めるのか?策定プロセスは?
企業年金制度において、「誰が」「どのようなプロセスで」運用の基本方針を決定するのかは、その後の運用成績や制度の安定性に大きく影響します。責任の所在を明確にし、透明性の高いプロセスを構築することが、従業員からの信頼獲得にも繋がります。
まず、企業年金法では、運用の基本方針は「事業主」が決定するとされています。ただし、事業主自らが専門的な知識や経験を持つことは稀です。そこで、実際には企業年金基金や契約先の金融機関など、専門家の意見を聞きながら策定するケースが一般的です。
具体的なプロセスとしては、①現状分析、②方針の検討、③策定・承認、④周知・記録という流れが考えられます。それぞれの段階で、事業主、従業員代表、専門家などが意見交換を行いながら、最適な方針を決定していきます。
重要なのは、単に法令遵守を目的とするのではなく、従業員の将来に対する責任を強く意識することです。従業員にとってより良い制度となるよう、真摯に検討を重ねることが重要と言えるでしょう。
「運用の基本方針」作成のポイント
企業年金制度において、「運用の基本方針」は羅針盤のようなものです。この方針が、長期的な資産形成や年金給付の安定化を左右すると言っても過言ではありません。では、どのような点に注意して作成すれば良いのでしょうか?
まず重要なのは、「運用目的」を明確にすることです。従業員に将来受け取るべき年金給付を確実にするのか、それとも企業の財務負担を軽減することを重視するのか。目指す方向性を明確にすることが、その後の具体的な運用方法やリスク管理の考え方を決める土台となります。
次に、「リスク許容度」を設定する必要があります。これは、どの程度の損失リスクまでなら許容できるのかを定めることです。リスク許容度は、企業の財務状況や年金制度の成熟度などを考慮して慎重に決定する必要があります。
さらに、「資産配分の決定」も重要なポイントです。株式、債券、不動産など、どのような資産にどれくらいの割合で投資するのかを決めることで、リスクとリターンのバランスを図ります。長期的な視点に立ち、分散投資を意識することが大切です。
「運用の基本方針」は、一度作成したら終わりではありません。定期的な見直しを行い、社会情勢や経済環境の変化に合わせて柔軟に対応していくことが、企業年金制度の安定運用へと繋がります。