投資とGATT：知っておきたい関係性
投資をしたい
先生、「ガット」って投資の用語で出てくることがあるんですけど、どういう意味ですか？
投資研究家
「ガット」は「GATT」と書くんだね。正式名称は「関税と貿易に関する一般協定」といって、貿易のルールを定めた国際的な協定のことだよ。
投資をしたい
貿易のルールですか？投資と関係あるんですか？
投資研究家
そう！ GATTによって国際貿易が活発になると、海外へ投資もしやすくなるよね。だから投資の話と関連づけて「ガット」が出てくることもあるんだよ。
ガットとは。
投資の分野で耳にする「ガット」とは、General Agreement on Tariffs and Trade、略してGATT（ジェネラル・アグリーメント・オン・タリフス・アンド・トレード）のことで、「関税と貿易に関する一般協定」のことです。
GATTとは？貿易自由化の立役者
GATT（関税と貿易に関する一般協定）は、第二次世界大戦後、国際貿易のルールを定め、自由化を促進するために設立された多国間協定です。1948年から1995年まで運用され、この間、関税の引き下げや貿易障壁の撤廃など、国際貿易の拡大に大きく貢献しました。GATTの原則は、後の世界貿易機関（WTO）の設立に引き継がれ、今日の自由貿易体制の基礎となっています。
GATTの基本原則：関税引き下げと貿易差別禁止
GATT（関税と貿易に関する一般協定）は、第二次世界大戦後、国際貿易の自由化を促進するために締結された重要な協定です。その中心的な原則は関税の引き下げと貿易差別禁止です。関税の引き下げは、国際貿易におけるコストを削減し、貿易の拡大を促す効果があります。また、貿易差別禁止は、最恵国待遇原則と内国民待遇原則という二つの柱で支えられています。最恵国待遇原則は、ある国に与えた貿易上の優遇措置を、他の加盟国にも同様に与えることを義務付けるものです。一方、内国民待遇原則は、外国製品に対して、自国製品と差別的な扱いをすることを禁止する原則です。これらの原則によって、GATTは国際貿易のルールを明確化し、予測性と安定性を高める役割を果たしてきました。
投資とGATT：歴史的経緯と課題
第二次世界大戦後、国際社会は自由貿易の推進による経済成長を目指し、その枠組みとしてGATT（関税と貿易に関する一般協定）を設立しました。GATTは主に物品貿易の自由化を目的としており、貿易障壁の削減や関税の引き下げなどを通じて国際貿易の拡大に大きく貢献してきました。
しかし、GATTは設立当初から投資に関する明確なルールを設けていませんでした。これは、当時の国際的な資本移動が現在ほど活発化しておらず、投資が貿易に与える影響が限定的だと考えられていたためです。しかし、1980年代以降、グローバリゼーションの進展と共に国際的な資本移動が活発化し、海外直接投資は国際貿易とは切り離せない関係へと変化しました。
このような状況下で、GATT体制下では投資に関するルールが未整備であることが課題として浮上しました。例えば、ある国が自国の産業保護を目的として、外国企業に対してのみ不利な規制を設けるといった、貿易と投資を連携させた新たな保護主義的な動きが見られるようになったのです。
このような課題に対処するため、GATTのウルグアイラウンド交渉において、貿易関連投資措置（TRIMs）協定が締結されました。TRIMs協定は、貿易に関連する投資措置を規律することを目的としており、GATT体制における投資ルールの基礎となりました。しかし、TRIMs協定は限定的な範囲の投資措置しかカバーしておらず、より包括的な投資ルールの必要性が認識されるようになりました。
サービス貿易とGATT：TRIPS協定の役割
GATT（関税と貿易に関する一般協定）は、物品貿易の自由化を目的とした協定ですが、サービス貿易は当初その対象外でした。しかし、サービス貿易の重要性が増すにつれて、ウルグアイラウンド交渉の中でサービス貿易に関する一般協定（GATS）が成立し、GATTの対象に含まれるようになりました。
TRIPS協定（知的所有権の貿易関連の側面に関する協定）は、GATSと同様にウルグアイラウンドで合意された協定であり、サービス貿易とも密接な関係があります。例えば、金融サービスやエンターテイメントサービスなど、多くのサービス産業において、知的財産権の保護は事業活動の根幹をなしています。TRIPS協定は、特許、商標、著作権などの知的財産権を適切に保護するための国際的な枠組みを提供することで、サービス貿易の促進にも貢献しています。
このように、GATTは直接的には物品貿易を対象としていますが、サービス貿易やそれを支える知的財産権の保護にも深く関わっていると言えます。
WTO体制下での投資：今後の展望
WTO体制下では、貿易と並んで投資も重要な要素となっています。しかし、GATTは物品貿易を中心に規定された協定であるため、投資に関する包括的なルールは存在しません。そのため、投資に関する問題は、個別の二国間投資協定（BIT）や自由貿易協定（FTA）でカバーされることが一般的です。
しかし、近年、WTOにおいても投資に関する議論が行われる場面が増えてきました。これは、グローバル化の進展に伴い、国境を越えた投資活動が活発化し、WTOレベルでのルール作りが必要性が高まっているためです。
今後の展望としては、WTO体制下で投資に関する新たなルールが策定される可能性も考えられます。ただし、加盟国間で意見の隔たりが大きいため、合意形成には困難が予想されます。
重要なのは、投資と貿易は密接に関係しているという点です。WTOが、多国間貿易体制の安定と発展を目的とする組織である以上、投資に関する議論を避けて通ることはできません。今後のWTOの動向に注目していく必要があります。